210702①「自然淘汰による進化とは何か」
13回に分けて話す。
始めに話さなければならないのは、生命とはなにかという事である。実は地球外生命は発見されていない。従って普遍的かつ宇宙的スケールでは、生命は定義されていない。
これはN=1問題と言われるが、地球外生命を探る上で、最大の難問である。
しかし、NASAは21世紀の宇宙探査のテーマについて、アストロバイオロジ-と宣言しており、暫定的に生命の定義をしている。その際に、まずは地球生命とは何かを定義している。色々な学者が、議論しているが、どの説にも登場するのは、進化という概念である。
「生命とは」
進化のメカニズムは何かというと、実は自然淘汰である。そこで一回目は、自然淘汰による進化とは何かについて話す。
ダ-ウィンは生物に関する特徴として、自然淘汰による進化という事に注目した。自然淘汰による変異を伴う世代継承という理論が、ダーウィンの理論と言われる。遺伝学者のハーマン・マラーは、生命について完結明瞭に、進化する能力を有するものと述べている。これでは余りにも少なすぎるので、2021年にノーベル賞を受賞したホルナ-スによる生命の定義を紹介する。
彼は以下の三つの特徴をあげている。
・自然淘汰を通じて、進化する能力を持つ
・生命体が境界を持つ物理的存在である
・生物は、科学的・物理的に情報的な機械である。
「自然淘汰」
今回は、この自然淘汰による進化について話す。自然淘汰とは、自然界において有利な差異が生じるならば、それが生き残って、子孫を残す機会に最も恵まれている。有利な差異は保存され、不利な差異は駆逐されることを、ダーウィンは自然淘汰と呼んでいる。この事を、最初に文献に記載したのはダーウィンとラッセル・ウォーレス。
二人は別々に此の進化のメカニズムに気付いていた。
しかしダーウィンは進化という言葉を使っていない。変化を伴う世代継承と表現している。
自然淘汰が進行するには次の三つの要件がある。
・遺伝システムを備えている
「適者生存」
自然淘汰と似た概念として適者生存という考え方がある。この考えは競争に弱い個体の排除に繋がる。これはダ-ウィンの自然選択、自然淘汰と同意義で環境に最も適応したものが生き残るという
意味である。
「人為淘汰」
人間は農耕牧畜という生き方を始めて以来、自然淘汰のプロセスを使って、特定の性質を持つ生物を交配させてきた。これを人為淘汰という。人為淘汰は劇的な結果を齎すことがある。
野生の灰色オオカミから様々な犬の種が出されたり、野生のアブラナ科の植物からブロッコリ-
キャベツ、カリフラワ-などが生み出されたりする。自然淘汰の考え方はむしろ人為淘汰から発展
したともいえる。
「地球生命」
地球外生命と言う前に、まずは地球生命とは何かを論じなければならない
まず第一にあげられるのは自然淘汰を通じて進化する能力という事である。私達が観察出来るのは複雑な生命体である。その生物に多様性を齎したのは自然淘汰である。この事が多様化した生物を生み出した。全ての種は絶え間なく変化し、最終的に絶滅してしまうかさもなくば、新しい種へと進化していくかどちらかである。
生物には我々が普通に知っている生物以外に、目に見えない微生物等がある。微生物と言うのは
微妙な存在である。
生命=進化=自然淘汰とすると、繁殖能力がある・遺伝システムを備えている・死による世代交代の三要素に当てはまるのか。
単細胞生物は変化しない。多細胞生物で誕生から変化しないものはない。
生物は何かと言う時に、細胞に注目しないと微生物と多細胞生物の違いは、説明できない。
これは次回で。
「コメント」
今日も哲学である。人=生命=自然淘汰=三要素(繁殖・遺伝システム・死による世代交代)。
我が家の種も取りあえず繁殖したが、適者生存で自然淘汰されることもある。