200110①「虫観察のすすめ」
講師は信州大学卒で、現在国立科学博物館勤務。アリの研究で知られ、今の南方熊楠と言われる。
昆虫は地球上でもっとも繁栄している生物で、世界で100万種、日本で10万種といわれる。種によって様々な生態を持っており、それぞれが適した多様な環境で生息している。陸上、海中、空気中、
地下など昆虫のいない環境はない。将に地球の支配者と言ってもよい。近年数を大きく減らしており、絶滅を心配される種も多い。原因は異常気象や人間の経済活動による、彼らの生息環境の破壊である。
講義は主に日本国内に生息する不思議な生活を送る昆虫を紹介するとともに、彼らの抱えている危機的状況、また彼らがいなくなるとどんなことが起きるかを考えていく。
私が伝えたいことは「昆虫は凄い」「親しみを持ってほしい」と言う事である。
面白い虫の話をする。
「ヤネホソバ」 チョウ目ヒトリガ科のガ 茅葺屋根に発生する苔を食べていることが、名前の由来。
成虫は、薄い褐色の細い羽をもつ。幼虫には毒針毛があり、触れると激痛。
茅葺屋根がなくなって数を減らして、レッドリストに入っている珍しい昆虫である。
近年モルタルの外壁に発生する藻を餌にして発生することが判った。家の外壁を見ると発見できる。
「ムラサキツバメ」 チョウ目・シジミチョウ科 照葉樹林に分布 幼虫はマテバシイを、食草とする。
4cm。オスの翅の表側は、深い紫色に輝く銀粉で、周囲を黒褐色で縁取られている。メスは、紫色は狭い。この幼虫の生態が面白い。春先に見られる。
・幼虫は外敵から身を守るために、マテバシイの葉にくるまっている。ひこばえの葉によくいるのでみつけることが容易。
・幼虫は体から蜜を出して、アリを集めて外敵から身を守る護衛としている。アリとの共生である。
・同時にド-パミンを出して、アリを戦闘的にして、幼虫に近づく外敵を攻撃させる。
「ミナミカマバエ」ミギワバエ科 水際にいる肉食のハエ 5mm以下
・前足が鎌のようになっていて頭は逆三角形で、カマキリに似ている。
・水際で探すと容易に見つかる。
「フユシャクガ」チョウ目シャクガ科 3cm 薄い茶色 名前の通り、冬にしか見られない。
フユシャクガ(冬尺蛾)の名前の通り、冬に活動する。
・翅はオスにしかない。メスは飛べないが、交尾期にはフェロモンを出してオスを呼び寄せる。
・雑木林で夜活動するので、人の目には見られないことが多い。日没後に行けば、オスが飛んでいるのが見られる。
・体液の中にグリセリンを持っていて、氷点下でも凍結しないで、生息できる。
・寿命は2週間程度。オスメスとも繁殖したら死ぬ。卵は翌年ふ化。幼虫は広葉樹の葉を餌にして、
成長し地下に潜る。
・12月~1月の桜に多く見られる。
「コメント」
講師のような目で見れば、周囲には不思議だらけだろうな。早速「フユシャクガ」を探してみるか。