191206⑩『火山噴火と「火山の冬」
火山大噴火で噴出物が、長期間成層圏に滞留することによる寒冷化を話す。
「インドネシアトバ湖」7万4千年前
スマトラ島にあるトバ火山爆発による世界最大のカルデラ湖。74000年前の超巨大噴火は、2千万年前のイエロ-スト-ンの噴火と並ぶ世界最大の噴火であった。この影響は全世界的に大きかった。
・1991年フィリピン ピナツボ火山噴火の280倍とされる。(ピナツボ噴火はここ2千年で最大)
・地球の平均気温は3~4度低下。周辺地域は8度低下。10年程度続いた。これは南極の氷から分析された。
・この時期に人類の遺伝子のボトムネックがあり世界人口が数万人に大幅減少したとされる。
・人類が衣服を着るようになったもこの時期からといわれる。しらみの分析から判明。しらみには
三種類あって、頭しらみ、毛じらみ、衣類しらみ。宿主特異態といい、遺伝子的に別種。衣類しらみ
が発生するようになったのはこのトバ火山噴火の時期。寒冷化に対応するために、人類が衣類を
付けるようになった時期と合致する。
「エルサルバドル イロバンゴ湖」408年~536年
トバ湖と同じくらいのカルデラ湖。408年~536年に噴火し、火山爆発指数 6の巨大噴火。
(世界各地への影響)
日本でも530年異常低温の記録、東ロ-マ帝国、中国、メキシコでも。世界各地で大飢饉、疫病の
猖獗。火山の冬ではと、言われてきたが研究の結果、イロバンゴ湖の噴火が有力。
疫病は低温でネズミの天敵哺乳類が減少し、ネズミが繁殖した結果とされる。各地で食糧を求めて、民族の移動が始まる。ゲルマンのイタリア侵入、フランク王国(カロリング王国)のフランス侵入。
ウエールズは、イングランドのアングロサクソンに征服される・・・・。日本では宣化天皇の時期、飢饉となり、各地の屯倉の設置・増強が命じられた。これを推し進めたのが蘇我稲目で、これを期に豪族となっていく。仏教口伝もこの時期。
「承和の飢饉」 世界的異常低温 まさに火山の冬 インドネシア サラマス山
承和2年(1258年)は異常低温により飢饉と疫病が流行。天候異変はヨ-ロッパを始め、世界で発生。
最近の研究で、インドネシアロンボク島サマラス火山の1257年の超巨大噴火の影響と分った。
「ベル-のワイナプチナ山の噴火」 1600年 アンデス山脈
南アメリカで過去最大の噴火。ヨ-ロッパ、ロシアで記録的寒冷化が進行し、飢饉が多発した。
夏のない年と言われた。
「インドネシア バンドゥン火山の噴火」 1815年
ピナツボ火山(フィリピン ルソン島)の8倍規模の噴火。世界の気温が3度下がったといわれる。
バンドゥンはインドネシア ジャワ島にあり、ジャカルタ、スラバヤに次ぐ都市。カルデラ湖が観光名所となっている。
20世紀の大噴火
・グアテマラ サンタマリア火山
1902年大噴火し現在も活動中。
・セント・へレンズ火山 アメリカの富士山と言われていた
1980年 頂上部で大爆発、標高2975m→2500mまで吹き飛ばした。
・メキシコ エルチチョン火山
1982年 大噴火 世界の平均気温を0.5度低下させたといわれる。
・フィリピンルソン島 ピナツボ火山 マニラから100km
1991年に今世紀最大の噴火。頂上部が300m吹き飛んだ。世界の平均気温が0.5度低下し、
オゾン層破壊も進んだ。
気候変動の分析
IPCC(国連気象変動に関する政府間パネル)は、過去の気象変動に関する要因分析を行っている。
・エルニ-ニョに関わるもの
・火山噴火(サンタマリア火山、エルチチョン火山、ピナツボ火山)
・太陽活動の影響
・人為的要因(温室効果ガス。硫酸・硝酸エアロゾル)
人為的要因は、公害による温度低下があった。
今後の巨大噴火の候補
最大級の8レベルは、5万年に一回の確率。これの有力候補。
直近の8レベルの噴火は、2万6千年前のニュ-ジ-ランド北島のタウポ火山。
・アメリカのイェロ-スト-ン 60万年に一回の頻度
・インドネシアスマトラ島のトバ火山 最大噴火は7万年前
結論
気象変動の人為的影響は徐々に進行するが、火山の冬は突然急激に発生し、寒冷化によって人類の破滅をもたらす危険がある。将来のある時期に必ず発生すると覚悟すべき。
「コメント」
過去の大きな寒冷化は、巨大噴火による火山の冬に起因するものが多いのだ。しかしこれを予測して防ぐ手立ては殆どない。ここで人類の絶滅危機が発生し、劇的な変化が起きるのだ。