170602⑨「原子、分子、そして生命へ」
「講座概要」
「もの」は原子で出来ているという考えが認められたのは、20世紀初めのこと。物質の最小単位としての原子の存在は、普通の顕微鏡では確認出来ない。原子の大きさが、光学顕微鏡で観察に使用する可視光線の波長より小さいからで、
電子顕微鏡の登場で初めてその検出が可能になった。
今日はどの様にして、原子は存在することを知り得たか、その原子がどのようにして物を作り上げているかを話す。
「先ず物の認識の歴史について」
(アリストテレス) 万学の祖といわれる。
古代ギリシアの哲学者。プラトンの弟子。認識論・知識論は中世のスコラ哲学へと続く。
キリスト教的世界観の基礎となり、17世紀まで根付いていた。
・物は暖かいもの/冷たいもの・乾いたもの/湿ったものとに分かれるとした。そして、火・空気・水・土
この四つの組み合わせで、様々な性質の特性が決まるとした。
・人間とは何か→知識を愛するのが人間であるとした。そうでないのは、単なる動物。
→フィロソフィア(phiiosophy)愛する+知識→転じて哲学の意。
・アリストテレスが関わったことは学問全体に及び、自然科学・哲学・心理学にまで及ぶ。
・現代科学とは全く違うが、物の本質を追求した。
(ジョン ボルトン)
英の物理学者。原子説を唱えた。自分の先天性色覚異常を発見し、色覚異常を意味する
ドルトニズムの語源となる。
・原子があって、その原子の組み合わせで物質が作られているとした。当時は、H・N・Cなどは
知られていた。元素=原子という考え方であったが。これは近代原子論の始まりである。
ドルトンを切っ掛けとして、様々な実験や理論付けが行われた。
「原子の結合」
原子が色々な結合方法で結合して、ものになっている。
光学顕微鏡では見ることは出来ない。これは可視光線を利用しているからである。(380~780n m) ナノメ-トル これより小さいので、電子顕微鏡で見る。原子はこの電子顕微鏡によって確認
されるようになった。
・分解能→接近したものを、異なる物として識別できる能力。
人間・・・0.1mm 光学顕微鏡・・・100n m 電子顕微鏡・・・0.1n m
・元素はくっついて分子を作っているが、結びつきの仕組み→イオン結合・金属結合・共有結合
などがある。
イオン結合 原子の持っている陽イオンと陰イオン(原子の間で電子の授受により生じる)との
間の静電引力に基ずく化学結合。例 食塩
金属結合 金属内での原子の結合。
共有結合 二つの原子が、二つの電子を共有することによって生じる化学結合。例 水素分子
における水素原子の結合。
「分子」
一個ずつの原子が組み合わされて、イオン結合とか共有結合などをしながら、分子を作っていくが、この分子はドンドン大きくなっていくと、立体的な構造を取る。人間は蛋白質という立体構造を持つ
分子が集まって出来ている。
「ヘモグロビン」 分子は色々な形を持ち、機能を持つ。一つの例としてヘモグロビンを考えてみる。
鉄を含む色素(ヘム)と蛋白質(グロビン)とが結合した化合物。赤血球などに含まれる。
主に脊椎動物の呼吸における酸素の運搬に重要な働きをする。これは酸素分子がヘモグロビンの
中に入り込める構造を持っているから。
様々な物質は原子と原子、分子と分子の結びつきから成っている。
「コメント」
人体を始めとして、全てのものは原子からなっていると理解すればいいのだろう。その原子分子の
特徴、結び付き方によって様々な機能、働きが生まれて来るのだ。まあ、こんな理解が精一杯。