220419③「源頼家の退場と比企の乱」
当時の関東武士の統治の状況
当時の関東の武士の様子を紹介する。例えば、三浦介、千葉介とか名乗っている人達がいる。当時の国のトップは国司の守である。県知事である。これは貴族で、その次の来るのが介・掾、目。
国司は武士であれば、武蔵守、介、掾、目という。守に任じられても彼には、国府・府中にはやってこない。現地を任せているのは、留守所。行政を行っている。留守所を在庁官人という。殆どは現地の武士。
その中で国司に代わって、在庁官人のリーダ-やっていたのが、千葉介、三浦介・・・となる。源頼朝の頃に、伊豆で一番の武士と言えば伊東氏、その娘と源頼朝が結ばれて男子誕生。
そうなると上総介だけで呼び方がおかしい。三浦とか千葉というのは地名である。国名ではない。
上総介は国名である。彼は千葉介や三浦介より大きな勢力を持っていたのではないかと思う。
常陸の国 北 佐竹氏、南が大掾氏、下野 小山氏、 上野 足利氏 但し源氏の足利氏ではなく藤原氏、武蔵は秩父党、中心人物は川越氏、失脚後には畠山氏、 これらの上に源平の戦いが繰り広げられた。
比企氏
源頼朝が伊豆に流された時にすぐ、行動に出たのが比企の尼である。当時は京都で暮らしていて、長女は下級武士と結婚して居た。彼女は武蔵国の本拠、比企に戻り、そこから伊豆の配流地に居る頼朝に生活の補助をした。先の見えない頼朝への援助は何か。頼朝は母と思っていたであろう。実母は熱田神宮の娘。比企の尼の三女の結婚相手が平賀淺雅、源氏の中で一番格式の高い武士。源義光の末。頼朝の父、義朝との最後を見届けている。その息子が平賀朝雅で、次回の主人公である。頼家が生まれた後に比企の尼の次女三女が乳母となる。
藤原氏の流れを汲む。平安時代末期から鎌倉時代にかけて、武蔵国比企郡を領し、鎌倉幕府の
有力御家人となる。
一族の比企尼が源頼朝の乳母を勤めたので、比企氏は早い時期から有力御家人となっていた。婚姻政策で源氏の様々に人と縁戚関係になっていた。比企の尼の娘が二代将軍頼家の乳母となったことで、外戚として力を持つ。しかし北条氏との対立により、滅ぼされる。
比企氏への北条時政の対応 吾妻鏡も参照して
北条時政にしてみれば、比企氏を何とかしなければ自分たちの権力を築くことが出来ない。北条氏の中で、顔役は政子だけ。北条氏は何時か比企氏をつぶさねばと思っていた。建仁3年 1203年、頼家が急病になる。将軍4年目。
頼家は助からないだろうと見て、時政はここぞとばかり、行動を起こす。頼家の息子一万丸はまだ幼い。弟には千万丸、後の実朝である。千万丸は北条で育てられている。乳母は政子の妹、阿波局。千万丸を押し立てて、将軍にすれば北条氏は又、外戚として威を振るうことが出来る。千万丸を後継者とすべく、企む。比企能員を滅ぼすことをプランする。
吾妻鏡の嘘
吾妻鏡によると、後継者問題を色々と言っている所に、比企能員がやってきて、「本来、一万丸が継ぐべきだから」と言って、なんで後継者問題を議論すのだと不満を言う。それで比企能員は頼家に相談して、北条氏を討つという相談をしたとなっている。これを政子が聞いていて、時政に告げ、先手を打つことにしたという。これは全くおかしい。
当時頼家は人事不省で、病床に就いている。これは絶対に嘘である。
吾妻鏡が言いたいのは、先に手を出そうとしたのは比企だ。この辺りは北条氏によって作られた歴史書なので仕方ない。
こういう風に、後継者問題でもめている時に、北条時政は比企能員に法事の案内を出す。供も連れず平服できた比企能員は殺される。しかし現実に後継者問題でもめている相手に、のこのこ言って殺されるという事は考えられない。
この通りならば、余程のアホである。これはどう考えたらいいのか。権力争いをして、自分を殺したい奴の所に、のこのこ行くわけである。日常の付き合いの中で、時政は、へりくだって、ぺこぺこして敵意は全くないように芝居をしていたのか。
気を使い回して、比企一族を懐柔していたのか。忖度の権化。そんな態度に幻惑されて、比企能員は北条を嘗めた態度を取ったとしか思われない。
同時に比企一族の屋敷も攻撃して、頼家の息子一万丸もろとも一族を皆殺しにしている。
頼家は奇跡的に生き返り、北条氏は困惑した。仕方なく修善寺に閉じ込めてしまう。結局、頼家の弟、千万丸が将軍となる。実朝である。
これで北条時政は将軍の後見人の地位を手に入れ、ここで恐らく執権という名前を立てるのである。ここで、北条執権誕生というのが、源頼家の排除、それから比企一族の滅亡と共に、現実のものとなった。
「コメント」 ここでラジオがテレビ放送ドラマに先行した。
上総の介殺害、梶原景時排除、比企一族滅亡と息もつかせぬ展開。さあドラマはどう説明していくか。所詮ドラマか。
三谷幸喜がどう処理して、義時をいい人に保つか興味津々。吾妻鏡という歴史書のいい加減さに今一度驚く。