201005①「簿記と銀行の誕生 イタリアその1」
みなさんは、簿記や会計の歴史について考えたことはありますか?今回から『会計と経営を巡る500年の歴史』と題し、ヨーロッパやアメリカで発展した会計の歴史を全12回で解説します。初回は中世のイタリアで誕生した簿記と銀行についてふれます。会計の歴史の始まりがなぜイタリアだったのか?当時、教会と手を組んでさまざまなビジネスを展開したメディチ家の活動を通して説明します。
「メディチ家」
ルネサンス期のイタリアで銀行家・政治家として君臨し、後にトスカ-ナ大公国の君主となる。その財力でルネサンスの芸術家のパトロンとして支援した。まず商業と金融業で財をなしフィレンツェの実権を握った。
メディチ家は医師か薬剤師の出身でないかといわれる。銀行業で大成功し、ローマ教皇庁と結び優先的立場を得る。
この講座は講師の著「会計の世界史」が元になっている。好評で各国語に翻訳されている。
「会計の始まり」 為替手形の出現(商売の広域化)
当時のイタリアは、先進オリエント社会と低開発段階のヨ-ロッパとの商業の窓口となっていた。このため中国起源とされるペストが大流行し、人口半減した。しかし疫病終結後には、新しい経済活動が活発化する。この中で為替手形を主として銀行業のメディチ家が頭角を現してくる。そして、為替手形の性格上、支店網が必要となり多数できた。この支店の会計、経営の管理の為に簿記が発達したとされる。メディチ家では、本支店会議が1/月で開催されたという。
「貸金業」
キリスト教では金利を取ることは許されておらず、これは専ら異教徒のユダヤ人の仕事とされた。
「銀行」イタリア語 バンコ→机の意
机一つで仕事が出来るからか。
「コメント」
ペストの後で、このような新しい経済活動が起きてくるのは何かを示唆しているのか。コロナ後にも社会変革をともなう新経済変化が必然であろう。