191008②「倭の五王と委任独裁~5世紀の古代王権(2) 

「埼玉稲荷山古墳」

・出土した鉄剣

行田市の埼玉(さきたま)古墳群中の前方後円墳。雄略天皇と推定される人名(ワカタケル)を含む115文字からなる名文のある鉄剣が出土。この銘文には、埋葬されている人の名「オワケ」、その系図を示し、自分が都でワカタケルに仕え、この刀を作らせたとある。

・宋書にある倭の五王の武(雄略天皇→ワカタケル)と合致する。

・オワケとは?

 統治に派遣された将軍説、下賜されたと臣下という説もあるが、武蔵野国の首長と考えるのが

 順当。若い時に都に上り、天皇に仕えた。

・銘文は、自分の出自を語り、天皇家との関係に言及している。

「鉄剣の意味すること」

5世紀は大王家の権力も絶対ではなく、各地方豪族との連合政権であった。大王家は、軍事と外交を委任されていた。この事は、他の資料から推察される。対象は中国・朝鮮。

・地域の首長の存在は、強大で大王家といえども無視できなかった。埼玉古墳群の規模からみてもその力が見える。熊本の江田船山古墳にも鉄剣が出土し、銘文にワカタケルの名がある。

 

「コメント」

ワカタケルが倭の五王の武→雄略天皇であることはほぼ間違いはない。問題はオワケの存在、色々な説があり確定していないが、講師のいう「地域の首長」が妥当。その説明が今回の講義の大半。この事に素人は、疑問はないので、もっと周辺事情を話してほしかった。