191001①「倭の五王と委任独裁~5世紀の古代王権(1)」
「宋書倭国伝」 倭の五王の事が書かれている。
五人の倭国王が朝貢し官位を求めたことが記されている。宋に続く史書にも。古事記・日本書紀には触れられていない。
倭の朝貢の目的は、中国皇帝の権威を借りて国内諸豪族を抑え、支配の安定を図ることにあった。自分のみならず、臣下への官爵を望んでいたことは当時の大和政権の支配力がぜい弱であったことを表す。
(讃・珍・済・興・武)
・此の五王と実在の大王が、合致するのかという議論は江戸時代よりなされてきた。
・「宋書倭国伝」は5世紀の資料で、同時代史料というのは歴史学では信頼性は高いとされる。
・続柄は、讃と珍は兄弟、済、興、武は親子と記されている。珍と済との関係は書かれていない。
→二つの別の家系であることが想像される
・5世紀までは前の大王の子孫であっても、人格・資質が国の共同利益を損なう恐れがある場合には、他の王統に容易に変わったことを表している。
・中国皇帝に自分の臣下の官爵を求めているのは、これによって臣下を政治的に掌握しようとして
いた時代であった。
・6世紀以降の王党は継続する(万世一系)となっていく。
「倭の五王の九州王王朝説」
我が国の研究者の中には次の理由から大和政権ではなく九州王朝説もある。
・記紀に倭の五王の朝貢の記述がない。
・大王名が中国風であること。
・我が国史料と宋書の年代が合致しないこと。
・当時、有力であった九州の豪族。
「コメント」
宋書倭国伝をそのまま信じていたが、別の説には驚く。このことが江戸時代から議論されていたとは。