歴史再発見「元号文化の歩み」 京都産業大学名誉教授 所 功
181225⑬「新元号の展望」
「今上天皇の譲位」
現在85才、ご高齢で今後色々とご心配事が出てくる。
・平成22年 冠動脈異常
・平成23年 東日本大震災 連続7週の災害地へのお見舞い
・平成24年 大手術
・平成28年 7月 譲位の意向表明
・平成30年 8月 TVでの直々での国民への語りかけ
国民は陛下のお気持ちを知ると共に、多数が理解をして譲位を納得した。一部には生前譲位に反対の向きもあったか。
「譲位と改元への動き」
・政府・議会共に陛下のお気持ち・国民の意識を尊重として、皇室典範はその侭に、特例法として
生前譲位・改元の方向で検討が始まる。
・30年12月 皇室会議を経て平成31年4月31日で平成は終了し、5月1日新しい天皇の下で
改元されることが決定。
「次の年号」皇位の継承
現行法では「改元は皇位の継承があった場合に限る」となっている。
具体的には三種の神器・国璽、御璽(天皇の印鑑)を受け継ぐことで即位が始まる。
・特例法の中で「新年号を決める時は、国民生活の便宜を考慮して決めること」となっているので、
5月1日即位となると、それ以前のどこかになる。新年号発表は4月30日となるであろうと言われて
いる。
「新年号決定の進められ方」
・平成元年後、直ちに次の年号案の検討開始。→明日にでも改元の必要が出て来た時の備えに
・最終段階を迎えた現在、学者からは最終案、三案程が提案され、官房長官・衆参議長・有識者によって最終案が決定される。
・閣議で承認し、新天皇に報告される。
「新年号の検討の中身」
・日本最初の年号「大宝」以来、中国の古典・漢籍を出典として決められてきた。
大宝元年 文武天皇 701年
・日本人による漢籍(懐風藻・・・)、古典に基づくものも今後は検討の範囲に入るといわれる。
・どんな文字が使われるのか。
今まで年号に使用された文字は72文字。候補に挙がったけれど未使用は550、その文字は
100字。これ等も検討の中に入ると思われる。
「年号の存在の意味」
・表意文字としての漢字の優れた特性を、日本人が学んで使用してきたことを、今後共にどんなに
国際化しても使用利用して行くべきと考えられる。そして日本文化の一つとして元号を考えるべきで
あろう。
・元号が一世一元としていることに意味がある。憲法でも、天皇を日本国の象徴として、
又国民統合の象徴として定めていることを軽視すべきではない。
・公文書の年の記載に関する規則(政府の通達)
「原則として年号を使用するものとする。但し西暦表記を必要とすると認める場合は併記するもの
とする。」但し今回の改元論議の中で国会、地方自治体で西暦に統一すべきとの意見もある。
「コメント」
本家本元の中国で、清朝崩壊以来廃止した年号を、世界で残しているのは日本だけ。そして、
今もその出典を漢籍としている現実。今後2~3年号の世代が存在していくことが予想される。
和暦(年号)と西暦の換算のややこしさ。
元号廃止論者の主張にも一理あるが、日本人として又長い歴史を持つ天皇を象徴として頂く
日本国民として元号は続けるべきであろう。
元号廃止論者に何か明治維新時、敗戦時に、漢字仮名を排してロ-マ字とすべき、
更には日本語を止めて英語とすべきとの論を感じさせ部分は頂けない。