歴史再発見「黄金」から見直す日本史 加藤 廣
⑬ 「太平洋戦争から現代まで 昭和・平成時代」 13年6月25日(火) 20時30分
第一次大戦には日本は参戦はしたが大した負担はなく恩恵が多かったので日本経済は大ブ-ムとなるがその後の反動で大不況となる。
「過去の日本の四大不況」
① 松方デフレ 貨幣整理によるもの ②第一次大戦後の反動不況 ③世界的金融恐慌 ④戦後のドッジデフレ
・昭和初期の不況 農村の疲弊は甚だしかった 物価が2割~3割乱高下する。
EX 米一俵 20円→7円 生糸1貫 25円→3.5円
・1990年代以降最近まで、デフレと言っているが2%程度のものをデフレというのか疑問。
「2・26事件」 昭和11年
・第一次大戦後の大不況で特に農村は疲弊し、次三男は軍隊に行くしかなかった。ここで中堅の青年将校は農村の現状を憂えて、現状改革を目指し決起。天皇、上層部の支持を得られず失敗。
・しかし一般の国民は支持→歌人斉藤 史の歌「暴力のかく美しき世に住みてひねもす歌う我が子守唄」
斎藤は青年将校に共感 これ以降、言論は封殺され陸海軍の暴走を止めることは出来なくなった。
「2・26以降」 戦争への道
・財政再建論者の高橋是清が殺され、これ以降国債大増発、金の流失が始まる。
・金保有 20t迄落ちるが、政府も流石に気づいて家庭の金まで回収し、昭和16年には600tまで回復。しかしこの金で米国から石油と鉄を買い、開戦に備えた。仮想敵国から戦略資材を買って戦争する国は前代未聞。
「敗戦」
マッカ-サ-がまずやったのは日本の金所有高の調査で、日本銀行/田中貴金属に行った。しかし何もなかった。
金保有高 1949年 米 21707t 日本 91t
・戦後壊滅状態であった日本経済は1950年に起きた朝鮮戦争で奇跡的に立ち直る。 朝鮮特需 10億ドル
このころが米国の最盛期で、冷戦対策で世界中に金をばらまく。
「復興期」
・日本経済は復興していくが、この時期のミス→ドル建て輸出
米国経済はこれをピークに下降線で、ドルの貨幣価値は低落。このため日本は100兆円~200兆円の損害。
・輸出で溜めたドルで米国債を買った→これが第二のミス
日本は二重に米国を助け、損害を被って、米国を援助しているのと同じ。
「米国の帝国主義政策」 今は米帝国主義の時代
・金融帝国主義 友好国の金融システムを米国流にする
・食料帝国主義 余剰農産物を輸出して米国依存の体質にする 日本・韓国・フィリピン・・・・・・
・ドル基準体制の確立
「日本の金融政策」 日本 米 仏 独 スイス
金保有高 2009年 765t 8134t 2435t 3407t 1040t
・日本の政策当局はどうして金を持とうとしないのか。貨幣発行の基準がなければいけないが何もない。今は裏付けがなく国債増発、貨幣増発、金流失の状況。憂うべきこと。
・国民の貯蓄が1600兆円あるので国債発行しても大丈夫と言っているが、主たる所有者の老人が死ねばバラバラに相続されなくなってしまう。財政的に危機的状況。
・「貧」という字は財産を分けることから起きる。貝=財産
「米国の復権の可能性」
昨今、米国の「シェ-ルガス」が話題。目論見通りであれば米国は石油の輸入国から輸出国に代わる。さすれば米国の双子の赤字(貿易・財政)はたちどころに解消。戦後の超大国に復帰する。
ただし歴史は一旦斜陽になった国が復権した例はないことを教えている。しかし米国は歴史の例外になるかもしれない。
「日本の大問題」 今の財政運営でいいのか