私の日本語辞典「雑草にも名前がある」              講師     浅井 元朗(農業・食品産業総合研究機構)

                                        聞き手    秋山和平アナウンサ-

 

160709

今回は、おもに水田にみられる雑草を取り上げる。イネ科の雑草について、名前と特徴や、イネとヒエの違い、見分け方などを紹介する。またイヌビエなどイヌという言葉がつく雑草が多いのはなぜか、解説する。さらにガマ科の雑草や、

カヤツリグサ科、そのほかイネ科以外の“広葉雑草”と呼ばれるグループの雑草についてオモダカ科、ホシクサ科、セリ科などについて解説する。

A 浅井講師  a 秋山アナウンサ-

<イネとヒエの違い>

a ヒエには髭が付いていない。イネには葉の分かれ目にチョコンとあるのだという話であった。 

A 肉眼で見えるのでよく見れば判別可能。外側の葉をめくると継ぎ目の部分がある。そこにチョコンとあればイネである。

 なければヒエである。葉の違いはない。ヒエはそこが大きくなって実になる。ヒエの栽培種は熟した実が落ちず、収穫

 して穀物として利用する。雑草の場合は、熟した部分からボロボロと落ちてしまう。栽培種の場合は刈りとって利用

 できるが、雑草のヒエは、落ちたその種から繁殖していく。

<イヌ・・・と言う名>

A イヌと言う名がついているのが多いが、栽培するものにたいして、役に立たないものをイヌと言う名を付けている。

<スズメ・・と言う名>

A 種子をスズメが餌にしている例が多い。スズメカノタビラの実をスズメガ啄んでいるのを見たことがある。

<ジュズダマとハトムギ>

A ジュズダマの栽培種がハトムギ。種子の部分がボロボロ落ちないのがハトムギである。

<イネ科のガマ科>

A 植物の中に単子葉類というグル-プがあって、種子から出てきた最初の葉が一枚葉のもの。草本類に多く木本類

  には少ない。草原での生育に適しているといわれる。イネ科は単子葉植物の中で二番目に多い種類が入っている。

  イネ科、カヤツリグサ科、ガマ科が入っている。ガマ科は水田の中で繁殖するものではなく、田の周りの水路・畔から

  侵入するもので、風媒で種子を飛ばすので、田の中で繁殖するのではなく、田の周囲から根が水田の中に入ってくる

  形で育つ。

多年生である。湿地や溜池などに入込むので、水田が休耕するとあっという間にガマが繁殖する。 

 a 毎年、耕作しているとそういうことは起きないのか。

 A 水田や畑の雑草の種類を見ると、そこでどんな管理がなされているかがすぐ分かる。極論すれば、そこで雑草の

   生え具合を見れば、耕作している人の人物まで見える。土地の管理の仕方で自然が変わる。植えてある物を

   見れば、それまでういう管理がなされてきたかが分かる。いつ草を刈ったか、その間に土を動かしたか、その

   バタ-ンを見て雑草を見ると、その畑の歴史も分かる。

<カヤツリグサの名の由来>

 a イネ科と似ているが、違うカヤツリグサ科からいくつかの例を話してほしい。まず名前の由来は?

 A カヤツリグサは「蚊帳吊草」の意。昔、茎を引き裂いて蚊帳を吊った様な四角形を作る遊びがあったことから。水田、

  畑の普通の雑草で、最も農業被害の大きい雑草の一つである。カヤツリグサのグル-プは、茎が三角形である。

<イグサ>

 a イヌホタルイとかタイワンヤマイ・・。イ というのはイグサと関係があるのか?

 A その通り。ホタルイはイグサ科ではなく、カヤツリグサ科だが、茎の形状カヤツリグサ科特有の三角形ではなく丸い。

  イグサのような細い丸い茎が何本も束になって出てくる。

 a  ミズカヤツリとかタマカヤツリとかのグル-プも、茎は三角形か?

 A  その通り。イネ科の植物は、茎は三角形ではなく丸いか扁平である。これが見分け方のひとつである。

  <防除剤>

a  これらの防除剤は?

A  防除剤としてイネ科・カヤツリグサ科共通のものは無い。カヤツリグサ科は広葉雑草対象防除剤となる。

  農業と言うのは雑草との戦いでもある。特に日本の場合、高温多湿なので雑草の生育が旺盛なので除草が不可欠。

  <クワイ>

a  カヤツリグサ科のグル-プにクワイも入っているとなっているが。 

A  クワイそのものはオモダカ科の単子葉グル-プであるが、地下に芋を作る。そのイモが食用になる。

  <広葉の雑草>

a  水田の雑草としてイネ科からカヤツリグサ科まで出てきたが、葉の広い広葉の中の物も問題があると思うが?

      ヒロバの中に色々と科があるが、ヒロバと言うのはこういう雑草も含めて植物のメジャ-という事になるのか?

A  メジャ-かどうかは分からないが、形の多様性には富んでいる。葉の形、花の形態。だから人に認識されやすい。

  イネ科やカヤツリグサ科は葉だけで見分けはつかないし、花も地味でそういう意味では種類は多いが、人目に

    付きにくいというか、見逃されやすい。ヒロバの方が特徴がはっきりしているので、覚えやすい。

a その中で、オモダカ科、ミズアオイ科、トチカガミ科、ボミクサ科、ヒルムシロ科、ツユクサ科、セリ科、アゼナ科・・。

  この中で雑草として印象に残るものは?

A  オモダカと言うのは水田雑草であるが、昔 低湿地・河川の下流域が水田として開発されていない頃、至る所に生えて

いた、オモダカ、ミズアオイそういう植物が水田開発された所に残っているというのが現状である。だから日本人の

生活にはなじみ深いものであった。オモダカは屋号・家紋に使われたり、ミズアオイは神社の徴に使われたりして

いる。昔から親しまれていた草である。沢瀉

a  ヒルムシロ・ツユクサ・セリ・・・。セリ科に中にも食べられるセリと雑草のセリがあるのか?

A  明確な区別はない。雑草のセリから食用に適したものが栽培され農作物になって来たのだ。

a  雑草と言うのは人間の扱いや目の向け方によっては農作物になるのだ。

A  福島ではまだ山野草の利用が制限されている。地域の恵みが利用できないというのは、大きな問題である。

a  アゼナというものがある。スズメノトウガラシ・アゼトウガラシ・ヒロハスズメノトウガラシ・・・。それも雑草として 

トウガラシなのか?

A  アゼトウガラシの場合は、実の形が細長くてトウガラシに似ているので名付けられている。色々と調べていくうちに

  従来一つの物とみなされていたが、違うグル-プであることが分かり、名前の頭に新たな名前が付くことがある。

  例えばオニタビラコというものが、二つのグル-プであることが分かり、アカオニタビラコ、アオオニタビラコになった

    ことがある。

 

「コメント」

水田の場合、雑草の具合で収量が大幅に減少するとか。農業にとってはとても重要なことなのだ。素人の場合は、

手入れの仕方と見場の問題であるが。アナウンサ-が何の素養もなく、盲滅法質問するので話が散らかってしまう。

何とかならないか、興味がある話題なのに