私の日本語辞典「百人一首から広がる日本語の世界」
講師 吉海 直人(同志社大學教授)
講師の専門は平安・鎌倉の文学、短歌で特に「百人一首」。源氏物語の研究からスタ-ト。
④「カルタの絵」 13年1月26日(土)
全て平安時代の人物としての絵になっている。(EX 持統天皇の十二単) 一家にカルタは一組あるのが普通なので絵の違いに気がつかない。カルタメ-カ-によって違う(百社以上ある)
・式子内親王 持統天皇と同じ構図で後ろ向きになっている。
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらえば 忍ぶることの弱リもぞする
・小野小町 これも後ろ向き
花の色は うつりにけりな いたずらに わが身世にふる ながめせし間に
・清少納言 美人という評判はない人 平安時代は身分低い、
美人でない人は横顔を描くというきまり
夜をこめて 鳥のそら音を はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ
・崇徳院 天皇は繧繝縁(ウンゲンべり)→繧繝綿で作った畳の縁。
貴人が使う。これではなく普通の畳。保元の乱に敗れ讃岐に
流され没。このために扱い。
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あわむとぞ思ふ
・持統天皇 百人一首の看板娘 濃い化粧で下の句には銀粉が振ってある。
百人一首のかるたを見るときは持統天皇がどう描いてあるか
を見ると興味深い。
春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香久山
(注) 確かめたが、講師の言うようには全くなっていない。どういうことか?
「カルタの変化」
・カルタの漢字にはルビが振ってある。→誰にでも分かるように
・競技カルタ 明治になると競技カルタが出てくる。→覚えているだけではダメ。
東大医学部が活躍→沢山取る方法を見つけた。
「百人一首のトピックス」
・決まり字の出現 読み札を何文字まで読むと、取り札がわかるか
一字決まり 7首 (むすめふさほせ) 二字 42首 三字 37首
四字 6首 五字 2首 六字 6首
・カナ使い
従来は旧仮名使いであった。戦後新仮名にすべしと議論になったが、旧仮名で落ち着いた。ところが最近小学校教育に百人一首を持ち込もうとしてこの論議が再燃。論議中。講師曰く、百人一首は旧仮名で、家庭でやるのが望ましいと。
・外国語翻訳
江戸時代には既に英語に翻訳されていた。翻訳されている日本文学では百人 一首が一番多い。各国語に翻訳されている。
・百人一首の言葉が色々な場面に使われている。
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