190818③「ギアナ高地、天空の植物」
ギアナ高地
南米の北東部にある卓状の山地を有する高地。南にはアマゾン、北はオリノコ川。ベネズエラ、ブラジル、ガイアナ、スリナム、仏領ギアナにまたがる。広さは日本の三倍。ギアナとは水の国という意味。貿易風がギアナ高地にぶっつかり、大量の雨をもたらす。
「地形の出来方」
昔、北米と南米は繋がっていなかった。アマゾンが海だった。ギアナは孤立した陸地であったが、5億年前に全体が隆起して、現在の形になった。ゴンドワナ大陸の中心である。
「ギアナの地勢」
多雨地帯で、170の台地に分断されている。千m以上の絶壁で隔てられている。まるで島のように
なっている。
・エンゼルの滝
979mで世界最大。途中で水が霧となってしまうので滝つぼが存在しない。オリノコ川水系で、
行政上はベネズエラ。
・台地がそれぞれ隔離されているので、進化が起きやすい。
・「失われた世界」 コナン・ドイルのSF小説 ジュラシック・パークの原典 ロライマ山
ギアナ高地がモデルとされ、恐竜たちが登場する。
・ギアナ高地へのル-ト 講師は14回訪問
カラカス(ベネズエラ)→セスナ→ヘリで現地へ
「台地 テーブルマウンテンの状況」
熱気流が上がってくるので、多雨。雨季は10か月。湿原が多く、枯れた植物が地中で発酵して、赤い水となり、やがて黒くなる。有名なのは、アマゾンの支流のリオ・ネグロ(黒い川)。ここは、食虫植物の宝庫である。
〇食虫植物の五つのタイプ
・粘着式 モウセンゴケ科
・落とし穴式 ウツボカズラ科
・吸い込み式
・はさみわな式 ハエトリグサ
・袋わな式 タヌキモ科
〇モウセンゴケ モウセンゴケ科 の多年草食虫植物
茎が10cm立っていたものが、進化して茎が無くなり、ロゼット状になっているのが普通であるが、
ここのは立っていて古いタイプ。
〇耳掻草 ミミカキクサ タヌキモ科の多年草水草
日本のものに比して巨大
「木→多年草→一年草が、進化の道筋である。ここにはその例が沢山ある」
世界の植物で種類が一番多いのは、ラン科。一万種を超えるのは、ラン科・キク科・マメ科・イネ科。
キク科・マメ科・イネ科には一年草が多く、進化しているものである。
恐竜の時代には、一年草は多くなかった。新しく進化してきたのが一年草である。
〇多肉植物
ギニア高地には、北米のサボテン、リュウゼツラン、ベンケイソウ科の多肉植物は殆どない。これは
古代北米とギアナ高地が離れていて、北米の植物が侵入しなかったから。
〇ハマアナナス属(パイナップル科 チランジア)
常緑の多年草植物。樹木や岩に着生するのが多い。
〇ブロッキニア(パイナップル科)
葉液に水を貯め、食虫する。厳密な意味では、消化液を出すのが食虫植物。これは疑問。
〇リンドウ科
ここでは1~2mの低木であり花は緑色、進化前のタイプである。
〇ツツジ科 花弁がバラバラに咲く古いタイプがある。花弁の数は5枚が通常だが、ここでは6~8枚。
〇ラン科
品種改良は、カトレヤの様に丸く大きくとしてきた。ギニア高地では大の字形の花弁があって、
直径20cm。これは古いタイプ。原始的なランである。
ここは多雨、高湿度、晴れると強い日射、このような状況に対応できる植物でないと生き残れない。
このために植物は色々と工夫をしている。
・紫外線カットの為に、アントシアニンを出し、新芽は赤くなる。
・白色の葉が多く、紫外線を防止している。
・ノボタン科は、粘着性のある毛で、水をはじく。
・葉は扇形や剣型、船形をして雨水から、また細い葉が丸まって気孔が水に覆われるのを防ぐ。
「ギニア高地固有の植物」
・ギニア高地の特殊性を備えた固有の属は140種。日本では30種(シラネアオイ、コウヤマキ・・・)
・進化で有名なガラパゴスでは7属。
・固有の属だけではなく、種も多い。ギニア高地の種は8740種。この内の1/4が固有種。世界でも
珍しい。
●ギニア高地は5億年前から孤立して、現在は南米大陸の一部であるが、南米大陸の樹海の中に
取り残された島々である。ここに太古から生き残った植物がいまだに残っている。進化に取り残さ
れた舞台である。いわば、進化の「ノアの箱舟」なのだ。
●周りから一年草が押し寄せてくることもなかったが、人間が入ったため、帰化植物の侵入が危惧
されている。
「コメント」
今度も大いに難儀した。言葉、名前がヒアリングできなかったこと、スト-リ-が理解できず、まとめることが困難だった。