詩歌を楽しむ「サイモンとガ-ファンクルの歌を楽しむ」上智大学教授 飯野 友幸
⑦ 131115 「ブックエンド」というコンセプト・アルバム
「Book End」というコンセプト アルバムについて話す。コンセプトアルバムとは、ある一貫したテ-マの元に作曲されたもの。
「音楽の変化」
・当初Rock’n’ Rollは1950年代後半から10代の若者中心に爆発的流行となったが、だんだん飽きられてくる。
単に感情的に爆発するだけのものから、じっくり聞く音楽に変化していく。
・ビートルズの「Sgt. Pepper's」に代表される。これが最初のコンセプト アルバムと言われる。
・同じようなことがジャズの分野でも起きる。1930年代からSwingという形式が流行っていたが、1940年代後半から
Bebopが出てくる。Swingはビッグバンドが演奏するダンスの伴奏音楽であるが、ジャズ本来の即興演奏が求められるようになる。このBebopがモダンジャズの幕開けと言われる。
・このような変化に触発されて1968年にS&Gも「Book End」というコンセプトアルバムを出す。これは彼らの頂点を示すアルバムである。
「S&Gの変遷」
1、 デビュ作 「水曜の午前3時」
2、 「Sounds of Silence」 最初のヒットアルバム
3、 「Parsley, Sage, Rosemary and Thyme」
4、 映画「卒業」の為の曲 「Mrs.Robinson」 他
5、 「Book End」 最初のコンセプトアルバム
6、「Bridge over Troubled Water」(明日に架ける橋) 最大のヒット 最後のアルバム
「Book End」
・このアルバムには(人が老いていく事への考察)という主題がある。組曲風の構成。彼らの生真面目さが現れている。
・曲の構成 テ-マ→幼年期→青年期→中年期→老年期
「Old Friend」の訳詩 の一部
オールドフレンズ
残り少ない日々を共にする仲間たち
コートにくるまったまま
日が沈むのを待っている
僕らもいつかああやって、ベンチで静かに
最後の季節を迎えるようになるのか?
70歳になった自分なんて、想像出来るもんか
1941年生まれ、今年72歳。今この曲をどう歌うのか、どう思うのか聞いてみたいものだ。