私の日本語辞典「万葉歌人の植物観」
講師 木下武司 帝京大学教授 東京大学薬学部卒
① ②「万葉集の歌の植物」 2012年12月1日/12月8日狙い」
日本人の生活習慣・伝統行事には植物が主役になることが多い。万葉集には訳4500種の歌が詠まれているが
そのうちの訳1500種に植物が読み込まれ、その種類は160以上である。しかしこれらの万葉表記の植物名は
、現在の植物と必ずしも一致しないし、登場頻度も現代の感覚とは違ったものがある。万葉集に登場する植物の呼び名や表記、そのいわれを考証するとともに、万葉時代の人々の植物に対する感覚と表現を探ってみる。
最初に講師が好きな歌を
「すみれ」 スミレ科 スミレ属 4首
春の野にすみれ摘みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜寝にける 山部 赤人
(春の野にすみれを摘もうと来たが、野辺のあまりの綺麗さに、ここに一晩泊まってしまった)
・斉藤 茂吉は、すみれを摘んだのではなく、なばな(食用にするアブラナ)と言っている。
・しかし九州ではスミレ茶にしたり、お浸し、サラダ、あえ物にする。よって茂吉は間違っている。(ブ-チャン説)
万葉集に歌われている植物
萩 140首、梅 120首、松 80首、橘 70首、葦/菅 50首、桜 40首
・梅 中国から伝わって間がないハイカラな植物で当時流行した。
・歌は美意識で歌われているものもあるが、実用的なものが多い。